アブー・サルガ(聖セルギオス)聖堂(5世紀頃)

アブー・サルガ(聖セルギオス)聖堂はエジプトで最も古い聖堂であり、それは五世紀にまでさかのぼる。この聖堂は聖家族(マリアとイエス)のエジプトでの逃避行の間に三週間滞在した地下聖堂の上に建設されたことで名高い。

マタイの福音書の伝える物語によると、ユダヤ教徒の王ヘロデの迫害を恐れてマリアとヨセフは、幼子であったイエスを連れてパレスティナからエジプトへと逃亡し、アスユートまで行ったのち、帰路にコプティック・カイロ地区で数週間を過ごしたという。

アブー・サルガ(聖セルギオス)聖堂は、セルギオスとバッコス(バッカス)という二人の聖人のために建てられたものである。彼らは戦士としてローマ軍に仕えていた。彼らはイエスの忠実な信徒であり、ローマの神々を崇拝することを拒否した。セルギオスとバッコスは、キリスト教の信仰のために、296年にシリアで殉教した。彼らの聖遺物の一部はアブー・サルガ聖堂に保存され、別の一部はシリアで埋葬された。

聖堂は11世紀、17世紀、そして2000年と数度の修復を経ているが、それは中世期の特性をよく保存している。

一つの身廊と二つの側廊を備えたバシリカ建築を基礎とし、聖堂の西の端はリターンアイル(聖堂内西側廊)となっている。12の円柱が身廊と側廊の間に置かれ、そのうち11は白い大理石で、1つは赤い花崗岩でできている。大理石の円柱のいくつかには聖人を表していると思しき図像の痕跡がみられる。また、コリント式の柱頭が円柱の柱身と木の刳形の間に置かれている。聖堂の東側には、三つに分かれた内陣が、13世紀のものと考えられる木の仕切りで、ホールと隔てられている。キリストやマリア、聖人たちの生涯についての様々なシーンを描いたイコンが、アブー・サルガ聖堂の壁を彩り、内陣の内側には、四本の柱に支えられた木の天蓋が祭壇の上に造られており、聖書の各シーンが描かれている。また、祭壇の後ろの後陣(アプス)は大理石片やモザイクによって装飾されている。