聖カテリーナ修道院(4世紀)

シナイ半島の中程、モーセが十戒を授かったといわれるシナイ山の麓に構える僧院であり、コプト教会ではなくギリシア正教に属している。僧院の歴史は古く、4世紀の建立になる聖堂(聖カテリーナ聖堂)を核として発展を続け、6世紀にユスティニアヌス帝により周りを取り囲む囲壁が建造された。

アレキサンドリアの地で殉教した聖女カテリーナ(カタリナ、カトリーヌ)の遺跡が天使によってこの地に運ばれたとの伝承にもとづいてこの名が付けられたが、既に2世紀の終わり頃から数多くの隠修士たちがこの地に棲みついていたらしい。出エジプト記に描写されるモーセゆかりの土地としての内容に聖女伝説が重なり合って、この僧院の及ぼす影響力はきわめて大きいものであった。分院として南の紅海に面した港に建立されたトゥール修道院があり、またシナイ山のあちこちに隠修所としての小僧院が散らばっていた。この地を詣でる巡礼も数多く、囲壁の外に巡礼のための区画が設けられている。

僧院内部の配置は、各時代のものが詰まるかたちでさながらひとつの集落をかたちづくっている。興味深いのは、ユスティニアヌス帝の命によってこの僧院の警護の為にワラキア(今日のルーマニア)から連れてこられたローマ軍兵士が土着化、イスラーム化してベドウィンとなり、その礼拝のためにモスクを僧院内に設けている点である。(三宅理一)

図面
  • 1-聖カテリーナ聖堂
  • 2-鐘楼
  • 3-モスク
  • 4-ミナレット
  • 5-中庭 地下にオリーブ圧搾所
  • 6-僧房および作業所
  • 7-巡礼のための宿泊所
  • 8-聖堂(6世紀)
  • 9-図書館
  • 10-聖堂および倉庫
  • 11-僧房
  • 12-中庭 地下にパン焼き室
  • 13-旧食堂
  • 14-作業室
  • 5-1 遠景
  • 5-2 風景
  • 5-3 外壁
  • 5-4 塔
  • 5-5 僧房
  • 5-6 教会堂
  • 5-7 南壁
  • 5-8 アーチ壁装飾建物
  • 5-9 南西教会堂
  • 5-10 ドーム
  • 5-11 U字
  • 5-12 壁画教会
  • 5-13 クリニック
  • 5-14 水装置
  • 5-15 通廊
  • 5-16 台所
  • 5-17 井戸
  • 5-18 建物細部
  • 5-19 北辺滑車建物
  • 5-20 その他