デンデラの聖堂(6世紀末)

プトレマイオス朝の神殿(ハトホル神殿)で有名なデンデラの神殿群に混じって、古代のコプト聖堂の遺構を目にすることができる。3世紀末には、この地にキリスト教徒たちが入り込み、殉教時代を経て4世紀の始めにはここデンデラにも主教座が置かれた。

ハトホル神殿の前面、二つの誕生殿に挟まれるかたちで建てられたこの聖堂は、全体を石造の矩形の中に収め、三葉形の内陣、前廊をともなった三廊式平面、左右を丸くアプス状にしたナルテクスという具合に、整ったバシリカ式平面を示している。その立面は、やや傾いた重厚な石の擁壁をもつエジプト聖堂の典型とみなされる。建設年代は、石の彫刻のスタイルから類推して6世紀半ば頃とされている。貝殻、さまざまな十字架、鷲や植物文様などを豊富に配した彫刻は、コプト美術のひとつの頂点を指し示している。(三宅理一)

図面
  • 1-至聖所
  • 2-内陣
  • 3-プレスビテリオン
  • 4-身廊
  • 5-側廊
  • 6-前廊
  • 7-ナルテクス