殉教者テオドロス修道院(7世紀頃)

ルクソールの対岸、マディーナト・ハブ神殿の南側に位置する。現在は尼僧院である。この名の元となった聖者タドロス(テオドロス)は275年に生まれ、ローマ軍団の兵士となり対ペルシア戦役についた後、キリスト教に改宗し、マクシミアヌス帝の時代に、父親、姪とともに殉教する(306年)。キリストに倣い、十字架上で磔刑となったことは、今日でも信者の心に強い共感を呼んでいる。このタドロスが籠っていた場所が今日の僧院で、彼の殉教後400年を経て、当時の井戸が発見され、そこに僧院が再建されたとされる。

僧院の奥に設けられた聖堂は、今日五廊式となっているが、創建当初は三廊式で内陣(フルス)をもち、全体で3×4ベイの平面をとっていた。中央の祭室には聖タドロス、その向って右には騎士聖者イクラディオス(タドロスの従兄弟とされる)が祀られている。身廊部分には、ローマ遺跡から転用されたと思われる円柱が並び、また身廊の外(南側)には洗礼盤が置かれている。(三宅理一)

図面
  • 1-洗礼室
  • 2-身廊
  • 3-内陣
  • 4-至聖所
  • 5-聖イクラディオスの祭壇
  • 6-大天使ミカエルの祭壇
  • 7-聖テオドロスの祭壇
  • 8-聖母マリアの祭壇
  • 9-聖ゲオルギオスの祭壇
  • 10-増築部分